定年おやじの徒然散策

ついに60歳となりました。定年後のシニアライフを紹介します。

読書感想:「活きる力」(稲盛和夫)を読んでセカンドライフを考えた!

先週、図書館で借りてきた「活きる力」(稲盛和夫、プレジデント社)は、稲盛さんが母校の鹿児島大学で講演した内容を中心に構成されていて、若者向けの書籍ではあったが、還暦を迎えたシニアにとっても有益で刺激を受ける内容であった。

稲盛さんといえば、京セラ、第二電電(現KDDI)の事業立ち上げや日本航空JAL)の再建を成功させた、日本では誰もが知っている日本有数の名経営者である。稲盛さんが最も大事にしているものは「フィロソフィー(哲学)」で、稲盛さんのフィロソフィーを従業員が共有、共感することでいずれの事業も成功したとのこと。

稲盛さんのフィロソフィーの基本は、「世のため人のために尽くす」という利他の心と理解できる。
「人間の心には、自分だけ良ければいいという「利己の心」と、他者に対して優しく思いやりに満ちた「利他の心」が同居し、せめぎあっている。なるべく利他の心が大きな比率を占めるように努力して、自分自身を変えていくことが大事」とのことである。
「欲望を抑えること(足るを知る)は人類の命題。利己的なものが出てきたら良心を働かせてモグラたたきのようにたたく。利他で感じる幸福感は、利己で感じる幸福感とは比べ物にならないくらいさわやかで、きれいで素晴らしい気持ちになる」とのこと。

京セラ、第二電電JALの経営はいずれも素晴らしかったが、私は第二電電の成功に最も感銘を受けた。当時、電気通信事業はNTTが独占していて、日本の電話料金はとても高かった。NTTは明治以来の巨大企業、すなわち長期間の既得権益を堅守しており、新規電話会社の設立は、通信自由化の後押しはあったものの、政府や行政を含めた利害関係者による障壁がとても高かったと想像できる。第二電電は稲盛さんのフィロソフィー「世のため、人のため」のもと、全社一丸となって努力した結果、成功を勝ち得たのである。

会社経営だけでなく人生に関しても、「人生はその人がどういう考え方をするかによって決まる」との思いも記されていた。稲盛さんでも大学を卒業するまでは、中学受験、大学受験、就職試験のいずれにも失敗するという不運の連続。不平不満がつのり、世の中が嫌になっていたとの挫折経験から考え方を進化させて稲盛フィロソフィーが確立した。

これらの逸話は、セカンドライフを幸せに送るためにもとても参考になった。
私の考えるシニアライフは、「自分のやりたいことを手当たり次第挑戦する。人のための活動を介して自分の達成感、成長につなげる」ような生活が理想であり、体が自由に動く限り、利他の心を心掛け、充実したセカンドライフを楽しんでいきたいと思う。